企業の人財育成において重要な新人研修

企業が成果を上げ、存続していくために、不可欠な人材育成。
新卒一括採用が主流の日本では、毎年新年度には、多くの新入社員が入社してきます。大半が学校を卒業したばかりの新人のため、現場に配属する前の土台作りとして、新人研修の実施が必要です。

今回は、企業の人財育成における、新人研修について、ご紹介してまいります。

企業の人財育成における新人研修の位置づけ

HR総研の若手社員の育成に関するアンケートによると、いわゆる大企業と呼ばれる、従業員1001名以上では8割強、301名~1000名の中堅企業でも7割強、300名以下の中小企業でも5割強が若手社員の育成計画を作成しており、新卒採用を行っている企業の多くが新人研修を実施していることが伺えます。

その開催方法や日程はまちまちで、自社で実施しているものもあれば、研修会社が開催している研修に新人を派遣し、複数者合同で実施するようなケースもあるようです。
日程も1日から1年と様々で、各社状況や目的に応じて企画していることが伺えます。

株式会社ライトワークスが実施した調査によると、新人研修の目的で一番多いのが、「ビジネスパーソンとして必要な知識・ソフトスキルの習得」で、次いで「業務に必要な知識・ハードスキルの習得」がほぼ同数で続いています。

やはり、日本企業の採用手法で主流の、新卒一括採用で、多くの学校を卒業したばかりの人財を獲得するため、まずは「働くとは」「社会人とは」というような、ビジネスパーソンとして必要なマインドやスキルをしっかり習得してもらいたいと考えているのかもしれません。

新人の育成を現場に委ねている会社も少なくありませんが、人手不足で忙しい中、負担を少しでも軽減するために、せめて心構えだけは配属前に…と新人研修を実施する企業のお声を、我々もよく耳にします。

企業によっては、現場配属前に業務で最低限必要な知識やスキルを、ある程度身に着け、現場配属後に専門的な知識やスキルを身に着けさせようと考えて新人研修を実施することもあります。
我々もそうした企業のお声をよく耳にしていましたが、アンケートからもやはり多いのだということが改めてわかりました。

この2つの目的が新人研修の目的の半分以上を占めるのですが、最近注目度が上がっているものがあります。
それが、「新入社員の定着、エンゲージメントの向上」です。

近年、採用市場は売り手市場と化し、時代の変化もあいまり、人財の流動性が高くなっています。そのためか、せっかく採用した新入社員も、早々に転職するという話を耳にすることは、少なくありません。
そこで、新人研修で新入社員のエンゲージメントを高め、定着を図るという取り組みも増えてきたのです。

新入社員に、いい会社だな、長く働きたいな、と感じてもらうために、現場社員との交流の場を設けたり、丁寧な育成・サポートを行ったりと各社工夫をしています。

新人研修の目的により、実際の取組みや注力ポイントなどは変わってきますが、いずれにしても、企業の人財育成において、新人研修は、新入社員に現場で長く活躍してもらうための重要な位置づけにあるのです。

企業の人財育成において重要な新人研修のカリキュラム

目的は違えど、企業の人財育成の中で重要な位置にある新人研修。そのカリキュラムも実に多岐にわたります。
今回は、目的と日数でいくつかのパターンに分けて、よく見かける新人研修のカリキュラムの事例をご紹介します。

  1. ビジネスパーソンとして必要な知識・ソフトスキルの習得を目的とした1日~数日の新人研修

パッケージになっており、複数社合同で開催される研修に自社の新人を参加させる、あるいは数日間だけ全新人を集めて集中的に研修を行い、現場に配属させる、といったパターンです。中小企業や、採用人数があまり多くない企業がよく選択する手法です。

カリキュラムは、学生から社会人へのマインドチェンジ(働くとは、等)と、挨拶・名刺交換や電話応対、ビジネス文書の作成といったビジネスマナーについて実施する研修が多いです。
各社に必要な業務知識や、社内のルール等は、現場配属後のOJTで身に着けてもらうことになります。

  1. ビジネスパーソンとして必要な知識・ソフトスキルの習得を目的とした1か月の新人研修

中小企業から中堅企業にかけて多く見られるパターンです。1日から数日の研修のパターンと同様、業務知識などは現場配属後のOJTで身に着けてもらうケースが多いですが、複数社合同での研修だけでなく、自社だけで実施するケースも多々見られます。

カリキュラムは、学生から社会人へのマインドチェンジ(働くとは、等)と、挨拶・名刺交換や電話応対、ビジネス文書の作成といったビジネスマナーについてを、数日かけて丁寧に実施するケースが多いです。座学で学ぶだけではなく、実際のロールプレイで「やってみる」という経験をさせ、より定着と実践を意識しています。

加えて、最近増えているのは、コンプライアンスやハラスメントの内容です。
日数が短い場合は、学生から社会人へのマインドチェンジに内包することが多いですが、昨今の時事ニュースを考慮し、1日じっくり、時間をかけて学ばせることが増えてきています。

また、自社だけで実施しており、日数に余裕がある場合は、社内のルールなど、配属先によって変わらないような規則、申請のルールなどの説明をすることも多いです。

  1. 業務に必要な知識・ハードスキルの習得を目的とした数ヶ月の新人研修

配属前に業務に必要な知識やスキルをある程度習得してもらってから現場に送り込もう、という新人研修も世の中には多く存在します。大体中堅企業から大手企業で見られることが多いですが、企業規模よりも、業界によるという印象が強いです。

例えば、IT業界などは、情報系の学習をしていない未経験者を積極的に採用しているため、配属先に関わらず、ITの基礎知識を新人研修で身に着けてもらうケースをよく目にします。

現場配属後は、現場業務に必要な専門知識を身に着けていくのですが、専門知識を身に着けるために、あるいは、特定のツールやソフトウェアの知識だけに偏った人材にならないように、まず幅広い基礎知識を身に着けさせているようです。

そのため、期間も数ヶ月と長いものが多くなります。

  1. 新入社員の定着、エンゲージメントの向上を目的とした数ヶ月の新人研修

すでに前述していますが、新入社員のエンゲージメントを高め、定着を図ることを狙いとして行っている新人研修です。エンゲージメント向上を目的とした短い(1日~数日)の研修は、新人研修より内定者研修で行われることが多い印象があります。

新人研修で実施される際は、ビジネスパーソンとして必要な知識を身に着ける研修、あるいは業務に必要な知識を身に着ける研修と組み合わせて実施することが多くなります。

例えば、業務知識を身に着ける学習をしている折、もっと現場のことを知ってよりイメージを持たせたい際は、現場社員の講話や交流会を設けて、より良いイメージや具体的なイメージを持ってもらうという感じです。

また、近年は、きちんと会社が学習をサポートしてくれるか、成長機会が用意されているか、というのを、新入社員が厳しく見ているという話もよく耳にするので、カリキュラムで科目や時間を取らなくても、研修の運営でサポートを手厚くするというような取り組みもよく見受けられます。

企業の人財育成において重要な新人研修の運営ポイント

では、具体的に運営の際はどのようなことに気を付けるといいのか。
ここでは、代表的なものを3点、ご紹介します。
どれも簡単なことではありませんが、徹底できるか、できないかで、同じカリキュラムを実施しても効果が驚くほど違ってきますので、ぜひチャレンジしてみてください。

  1. 一人ひとりへのフィードバックを心がける

新入社員たちは、新人研修で、様々な新しいことを学び、実践することになります。よって、わからないこと、できているかどうか不安なことがたくさん増えます。

この不安やモヤモヤは、不満やネガティブな感情の温床です。不安な気持ちに寄り添い、可能な限り一人ひとりへフィードバックすることが大切になります。

「さすがに一人ひとりは人数が多くて難しいので、全体に向けてフィードバックすることを心がけています」という声をよく耳にしますが、全体へのフィードバックと、一人ひとりへのフィードバックでは驚くほど効果が違います。

テレビで「日本国民の皆さんへ」と発信されるメッセージを、皆さんはどれだけまじめに聞いているでしょうか?
「一般的にはそうよね」「みんな大変だなぁ」と、何か他人事に感じてないでしょうか?あるいは、聞き流しており、ほとんど何をしゃべっていたか記憶に残してない方も少なくないでしょう。

これと同様に、新人研修でも全体へのフィードバックは、不安の解消にはあまりつながりません。
「私の場合はどうなんだろう」「私はこうしたけどいいんだろうか、悪いんだろうか?」という声にしっかり応えなければ、不安やモヤモヤを解消するのはなかなか難しいのです。

  1. ストーリー(知識の結び付け)を明確にする

新人研修でカリキュラムを作成していると、とにかくやらないといけないことが多くなり、研修中は時間に追われることも少なくありません。そのような状態なので、もちろん、新入社員たちも、たくさんの情報量に圧倒されて、とにかく覚えたりメモしたりするので精一杯、ということがよくあります。

この時に、問題として多く上がるのが、「知識として理解はしているが、実践できない、どこで使うかまで理解できていない」という現象です。

ビジネスマナーや、業務知識の基礎など、一度学んだことを、後続の研修で使う場面を用意し、そこで改めて、「この間学んだことはここで使うんだよ!」と結び付けてあげると、知識の定着率が変わってきます。

新人研修で学ぶ内容を覚えることが目的化してしまってはいけません。
現場でしっかり使える、実践できるようにしてあげるべく、きちんと学んだことを結び付けてあげる、カリキュラムのストーリーを明確にしてあげましょう。

  1. 名前を覚える

当たり前すぎて意外と抜けがちなのが、名前を覚える、です。
皆さんは、新入社員の名前をどれほど憶えているでしょうか?

とある企業で本当にあった怖い話ですが、人事担当者がある内定者の名前を一度呼び間違えたところ、内定を辞退されてしまったそうです。

近年は個性を大切にする時代、多様化の時代と言われています。個性を大切にし、多様性を尊重する行動の表れの一つが、名前で呼ぶ、なのです。

「まだ新人だから」、「入ってきたばかりのペーペーのことを覚えてる暇はない」、などと言っていると、若手からそっぽを向かれるばかりか、場合によってはハラスメントに抵触してしまいます。

そうはいっても、一度にたくさんの人の名前を覚えるのは難しいと思います。大切なのは、頑張って名前を覚えようとする姿勢、相手を尊重していると行動で見て取れる誠実さです。

「最初のうちは名前を覚えられないかもしれないけど、頑張って覚えるので、優しく見守ってほしい」と言うだけでも違います。
当たり前すぎることではありますが、難しい事でもありますので、ぜひチャレンジして、当たり前の力のすごさを感じてみてください。

まとめ

いかがでしたか。

今回は人財育成の中でも、新人研修についてご紹介してまいりました。企業によっていろいろな目的が定められていますが、いずれにしても重要な位置づけにある新人研修。

目的に応じたカリキュラムだけでなく、運営のポイントも抑えて、より効果的な新人研修の実現が理想です。
大変なことが多いですが、ぜひチャレンジしてみてください。

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